WETHとETHの価値はまったく同じです。WETH9コントラクトは、預けられたETH 1枚につきWETHを1枚発行し、返却されたWETH 1枚につきETHを1枚払い戻します。違うのは役割です。ETHはガス代を支払うネイティブコインで、WETHはスマートコントラクトが動かせるように同じ価値をERC-20形式にしたものです。ここから導かれるルールはシンプルで、ふだんはETHのまま持ち、コントラクトに求められたときに、求められた分だけラップします。
- 価値は同じ:2026年10月11日のCoinGeckoの相場はWETH = 0.99978 ETHで、差は0.02%でした。WETH9は常に1:1で償還するため、この差は裁定取引によって縮まり続けます。
- 送金コストは違う:2026年10月11日、EthereumメインネットでのWETH送金には約34,853ガスがかかり(Ethereum RPC)、ETH送金の固定21,000ガスの1.66倍でした。
- ラップされているのはごく一部:WETH9内の2,173,369 WETHに対し、流通しているETHは1億2,212万(CoinGecko)です。つまり2026年10月11日時点で、全ETHの約1.78%がメインネットのWETHコントラクトに入っていました。
- 1つのアドレスに2つの残高:ウォレットはどのネットワークでもETHとWETHを別々に表示し、手数料を支払えるのはETH残高だけです。
WETH vs ETHの比較表
どの操作にどちらが必要かを左右する特性で、両者を比較します。数値は2026年10月11日時点のものです。
| 項目 | ETH | WETH |
|---|---|---|
| 概要 | EthereumとそのL2のネイティブコイン | 預けられたETHに対してWETH9が発行するERC-20トークン |
| ネットワーク手数料の支払い | 可能 | 不可 |
| コントラクトによる引き出し(approve / transferFrom) | 不可 | 可能 |
| 通常の送金にかかるガス | 21,000 | 約34,853 |
| 価値 | 1 ETH | 1 ETH、WETH9で償還可能 |
| 市場相場(CoinGecko) | 1 | 0.99978 ETH |
| Ethereum上の供給量 | 1億2,212万 | 2,173,369 |
データ出典:Ethereum RPC(eth_estimateGas、totalSupply())およびCoinGecko、2026年10月11日。この比較の要約版はホームページのETH vs WETHにあります。
操作ごとに必要なのはどちらか
日常的な操作の多くに必要なのはETHで、WETHが必要になるのはコントラクトが資金を引き出す場面だけです。最近のアプリは同じトランザクション内でラップやアンラップを済ませ、この違いを意識させないことがよくあります。
| 操作 | 必要なもの | 理由 |
|---|---|---|
| ネットワーク手数料の支払い | ETH | 手数料は常にネイティブコインで支払われる |
| 別のウォレットへの送金 | どちらでも可、ETHの方が安い | ETHは21,000ガス、WETHは約34,853ガス |
| DEXでのスワップ | どちらでも可 | ルーターがスワップ内でETHをラップ、またはWETHをアンラップする |
| レンディングプロトコルへの供給 | WETH(自動でラップされることが多い) | レンディングプールはERC-20トークンを保有する |
| NFTのオファー | WETH | オファーはオフチェーンで署名され、transferFrom()で決済される |
| 取引所への入金 | ETH | ネイティブETHしか入金に反映しない取引所が多い |
ミスの大半は2つのケースで起こります。ETHしか入金に反映しない取引所にWETHを送ってしまうケースと、WETHだけを持っていて手数料用のETHが残っていないケースです(WETHとガス)。
WETHが必要な場面でETHは使えるのか?
使えません。WETHを想定するコントラクトはWETH9コントラクトのtransferFrom()を呼び出しますが、ネイティブETHにはこの関数がないため、その呼び出しでアドレスからETHを引き出すことはできません。WETHが存在する理由はまさにここにあります。ETHはERC-20規格より前に作られ、この規格を実装していないのです(WETHが存在する理由)。
「ETHがWETHとして機能している」ように見えるのは、アプリが代わりにラップしているからです。ETHを入力として受け付けるDEXのインターフェースは、まずETHをdeposit()に送ります。レンディングプロトコルのETH用エントリーポイントは、預け入れの前にETHをラップします。その下で動くコントラクトが受け取るのは、あくまでWETHです。
WETHの価格が1 ETHからわずかにずれることがある理由
DEXのプールはそれぞれの残高から価格を決めるため、個々の取引の場ではWETHが1 ETHからわずかにずれた価格で取引されることがあります。このずれは長続きしません。WETHが1 ETHを下回れば、誰でもそれを買ってアンラップし、まるまる1 ETHを受け取れます。上回れば、誰でもETHをラップしてWETHを売れます。2026年10月11日のCoinGeckoの集計相場は0.99978 ETHで、差は0.02%でした。
ETHとWETHの切り替えにかかるコスト
切り替えにかかるのはネットワーク手数料1回分だけです。WETH9自体は手数料を取りません。2026年9月29日時点のラップ費用はEthereumメインネットで$0.08〜$0.37、ArbitrumとBaseでは$0.01未満で、アンラップも同じく1回の呼び出しで済みます。例えばGem Walletではアプリ内でETHとWETHのラップとアンラップができ、ウォレットを離れずに同じdeposit()またはwithdraw()が実行されます。手順はETHからWETHへとWETHからETHへで解説しています。
ETHのまま持つとき、WETHで持つとき
- ETHのまま持つ:手数料の支払い、個人や取引所への送金、そしてウォレットの基本残高として。
- WETHで持つ:レンディングプールに供給している間、流動性として提供している間、NFTのオファー用に確保している間。
- 必要なときにだけラップする:ほとんどのアプリは同じトランザクション内でラップするため、別途ラップが必要なのは、手元にないWETHをアプリから求められたときだけです。
- ネットワークを確認する:Base、Arbitrum、EthereumのETHとWETHはそれぞれ別の残高で、WETHのコントラクトアドレスもネットワークごとに異なります。